2025引退ブログ 4年 23 栗山 紫苑「走らない冬」

 12月の冷え切った部屋で独り、引退ブログを書いてみる。

 このブログが公開される頃には新世代のサッカー部が来年のリーグ戦に備え練習に励んでいることだろう。私がまだあのグラウンドを元気に駆け回ったあの頃の様に、後輩たちは、仲間と共に進んでいるのだろう。聞いた話によれば応援歌なども作ったそうで、公式戦でその歌を聞くのを楽しみにしている。少しは歌いたいと思うのだが、元気に歌うのは小心者の私には恥ずかしくて口ずさむくらいが丁度良さそうだ。

 つい先日、サッカー部の恒例行事である蹴り納めに参加したのだが、私がいたころのサッカー部とは少し雰囲気というものが違っていた。なんかこう、サッカーに対する情熱が確かにそこにあったような気がしている。幹部だけではなくそこにいる現役の彼らは私とは違う目をしていたように思えるのだ。私も現役のころあんな目をしていたのだろうか。仲間と一緒にあんなにも広く平らなグラウンドを走っていたのだろうか。薄暗い夜にほんのすこし光っている彼らの若く明るい眼差しは私の胸をゾクリと刺して、やっと今になって自分のとってきた行動にひどく後悔している。

 この蹴り納めには私と同じ時期にサッカーを始め、そして一緒に引退していった仲間もいた。相変わらずの大馬鹿者もいれば、少しはマトモになったんじゃないかと思える者もいる。やはり久しぶりにボールを触ったからだろうか、試合は散々な有り様であった。試合後の景品もよくわからない模様のついた下着でおもしろいことなんて何一つとしてなかったのだが、なんだか気分は悪くない。

 最近、東京は非常に寒くなってきている。スポーツは身体を丈夫にはするものの無敵ではない。後輩達は身体に気を付けて、怪我をしないように! 部活に励んでください。

 

 もう朝練で寝坊することも水曜日のランにつきあわされることも飲み会で騒ぎ散らかすこともない。どうやら東京は私の予想していた以上に冷え込むみたいである。

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