2025引退ブログ 4年 25 伊東 敦貴 「大丈夫だ あの痛みは 忘れたって消えやしない」

はじめに

引退して数週間が経ちました。日課だった寝る前のストレッチを全くしなくなり、太る懸念をして食事量をちょっと減らしてみたりしました。朝練がなくなったせいで生活も少し夜型になりました。やっと引退の実感が湧いてきたので、このブログを書こうと思います。

改めて自己紹介をしておきます。物質理工学院応用化学系、4年の伊東敦貴です。専攻は高分子合成です。趣味はサッカー観戦と釣りで、生粋の横浜F・マリノスサポーターです。引退後の楽しみとしては、大学にいる間にシーズン全通とかやってみたいです。引退してから暇を持て余さないようにと、現在船舶免許取得のための勉強中です。このブログが公開される頃には船長になれていると思います。こんな様子で部活がない生活を楽しんでいますが、サッカーが恋しくなる日は来るのでしょうか。高校でサッカーをやらなかったことに後悔しまくり、大学でサッカーをやり直した話は前作をご覧ください。(vol.34 「戦う者の歌が聞こえるか」/伊東敦貴(2年) | 東京科学大学サッカー部公式HP

そろそろ本題に入りましょう。2年前のブログにてサッカーへの情熱を熱く語りましたが、4年間それは尽きることなく、今はやりきった満足感でいっぱいです。人生で一番サッカーに向き合ったこの4年間は、自分という人間を形作る、貴重な時間でした。このブログでは自分が4年間何を感じ考えてきたのか、そんなことをつらつら書いていくつもりですが、その前に1つだけ伝えたいことがあります。本来は最終節の後に直接話したかった内容ですが、あの時はそんなことを喋れる余裕がなかったので、この場に書き残しておきます。

チームのためになるということ

毎年シーズンの終わりには、引退する先輩たちが一言ずつ言葉を残していってくれました。部への感謝だったり、後輩へのアドバイスだったり、自分の気持ちだったり、それぞれ個性があるなと思いながら聞いていましたが、正直内容を覚えているかと言われたらあまり記憶にないです。これを読んでいる先輩方がいたらごめんなさい。でも後輩も、今年自分たちが話した内容もうあんまり覚えてないよね??ただ、1人だけ、布施くん(現修士1年)が3年生でプレーヤーを引退したときの言葉を、今でも強く覚えています。彼は自分の1つ上の学年で、今もスタッフとしてチームに大きな貢献をしてくれています。自分が入学した当初、彼が2年生のときから、彼はピッチ外で多くの仕事をこなしていました。部でわからないことは布施くんに聞けばすべて解決するし、本当に頼りになる先輩でした。裏の仕事を楽しそうにこなす先輩だったからこそ、彼が引退するときの言葉は、自分には衝撃的でした。「自分はサッカーではあまり貢献できないから、プレー以外で貢献しようと思いました。」そう布施くんは言っていたと思います。パソコン作業や裏方の仕事がただ好きだからやっていたのかと思っていました。いや、すごく好きなんだとは思います、たぶん。チームでほかに向いている人がいなかったから仕方なくという部分もあると思います。それでも、布施くんが「チームに貢献する」という思いを持って仕事をしていたことにはとても驚きました。あのときの布施くんの言葉は、へたくそで試合に全く絡めない自分には、これ以上にないほど響きました。それまでもサッカーは好きで部活も楽しかったですが、チームに貢献できている気は全くなく、このまま貢献できることもなく終わるのかなと感じてもいました。それじゃ悔しいな、と。代替わりして幹部の代になり、チームを引っ張らなきゃいけない。もっと強くならなきゃいけない。でも、プレーで証明することは今の自分にはできない。だったら、やるべきことはもう決まっていました。あの一橋での引退試合で、布施くんの言葉を聞いた時から、自分は「プレー以外でチームに貢献する」ことを心に決めて活動してきました。

そこからの2年間、3、4年生ではできる限りのことをしてきたつもりです。3年生では、学連に始まり裏方の仕事はやるとして、とにかくいろいろなことに首を突っ込みました。スポンサーが初めてユニフォームにつきました。へたくそでも頭は良くなれるかと思って、分析には必ず参加し、ベンチに立たせてもらっていました。(1年生は「なんでこんなやつが監督みたいにベンチにいるんだ」と思っていたかもしれませんが、それは幹部が全員試合に出場することもあり、分析に出ていてベンチから指示する人間が必要だったためです。)練習中は誰よりも声を出したつもりでした。いろんなところに首を突っ込みすぎて学連の仕事なんてほとんど大樹に投げていた気もするし、思い返すとほとんど何もできていない気もするけど、それでも四六時中、部のことを考えていました。4年生になってからは研究室という新しい環境に追われ、部に貢献できる時間は極端に減ってしまいました。練習中だけでもできることをしようと、後輩とよくコミュニケーションをとることは意識していました。ありがたいことに4年生でもベンチから声を出させてもらえたので、少しでもそれぞれの選手が考えていることを知っておきたい、自由に意見を言い合える環境をつくれたらよいなと考えていました。

自分が試合に出ていなくても、チームが勝った時は心の底から嬉しかったし、貴重な経験をたくさんできたと思っています。そして何よりも、チームに貢献しようという思いが、自分個人のサッカーも大きく成長させてくれました。分析に出て秀斗や真生のような、サッカーがうまい、サッカーを良く知る選手の考え方や見方を聞けたこと。たくさん選手と話して、たくさん自分の長所や短所を指摘してくれたこと。情けは人の為ならずと言いますが、チームのための努力は、最後には自分に大きく還元されたと感じています。

今の、そしてこれからのプレーヤー達へ。チームの中でも技術があって、周りに自分よりうまい選手がいない人たちへ。自分の技術と、そして高校以前でおそらくもっとうまい選手とプレーしてきたであろう経験をチームに伝えてあげてください。あなたたちが誰よりも熱量を持って高いレベルを要求することがなによりチームの成長になると思います。試合に出ている、絡めている選手たちへ。もっと主張してください。それぞれに理想のプレーや見えているものがあることは知っています。それをチームに投げかけ、話し合い、お互いを理解することが、チームとして、そして個人としての成長につながると思います。チーム内に上下関係はありません。うまくても下手でもたくさん自分の考えをぶつけ合ってもらえたらいいなと思います。そして、試合に絡めていない選手へ。自分がうまくなるための道筋をぜひ考えてください。自分は結果論ですが、チームに貢献しようと努力したことが、何よりも成長につながりました。自分が他の選手に後れを取っている悔しさを、何よりも日々への活力と集中力につなげてもらえたらいいなと思います。4年生での後悔のひとつは、チームのボトムアップをほとんど達成できなかったことです。正直に言えば、チーム全体のレベルは自分の入学当初に比べて下がっていると感じています。その中でBの選手には、たくさん話をしながら、自分でも伝えられることを伝えてきたつもりです。ただ練習でAとBを分けたときの圧倒的な強度と声の差を変えることはできませんでした。自分が1年生の時のBはもっと激しかったです。ボールを触っている時間以外のプレーは、すぐにでも変えられると思います。頭を使うこと、もっと走ること、球際で絶対に潰すという気持ち、そしてもっと声を出すこと。足りないものだらけのBチームは、ひとりひとりの意識で変えていってください。

さて、ここまででチーム全体に向けて話したかった事はひとまず書ききったわけなので、ここから本編に入ろうと思います。前置きで3000字書いている訳ですが、序論、本論、結論の比は1:8:1が一般的ですので、あと27000字くらいになります。嘘です。もう半分くらい自分の話をさせてもらうかなと思っているので、ぜひ読んでもらえたらと思います。

後悔と限界

小見出しが非常に重苦しいですが、大学でのサッカー生活は本当に楽しいものだったことを先に述べておきます。それでも、自分のサッカー人生を振り返るとやはりたどり着く部分はここだろうと感じているので、こんな題にしています。

自分のサッカー人生について、やりきった達成感は非常に感じています。この4年間でサッカーは本当にうまくなったと思うし、サッカーの見方や人間性の成長も感じています。ただ、4年間、公式戦には一度も出られませんでした。最終節の試合中は、ビハインドの展開で勝つことしか考えておらず、交代枠を使い切って自分が出ることはできないのだと気が付いたのも後からでした。状況をしっかりと理解したのは、後輩を車で送り家路についた運転中でした。ただそれでも、チームが勝てなかった悔しさと、やりきった満足感とで、落ち着いて気持ちの整理ができることはありませんでした。だからあまり、悲しいとか、苦しいとか、そういった気持ちはなく、客観的に事実を受け取って飲み込むことができました。ここが、自分の「限界」だと感じていました。

入部した当初から、公式戦に出たいという思いはもちろんありました。それはへたくそな自分にとって簡単じゃないことは理解していたけれど、経験したことのない良い環境と、何より自分よりサッカーがうまく、サッカーに本気で向き合っている先輩や同期と一緒に練習できることが、目標を身近に感じ、練習するモチベーションになっていました。それは学年を経ても変わらず、うまい選手から少しでも多く吸収しよう、誰よりも真面目に練習に取り組もう、と、サッカーへのモチベーションが切れることは全くありませんでした。実際に4年間、本当にひたむきに、努力を続けてきたと確信しています。ただ、この4年間を振り返って、自分は全力を尽くして、やれることはすべてやって、やり尽くしたのかと問えば、それは絶対にNOです。この4年間、もっとうまくなる方法、機会はいくらでもありました。どれだけ日々の練習で頭を使って、集中して取り組んだか。自分に何度向き合い、長所や短所を分析し、改善しようとしたか。どれだけ自主練をしたか。どれだけ食事や日々のケアにこだわったか。自分の中で幾度となく言い訳をしてきたと思います。めんどくさくてやらなかったことがたくさんあります。自分が誰よりもうまくならなければいけないとわかっていたのに。

ここが自分の限界だったんだなと今は感じています。客観的にも主観的にもサッカーには真面目に向き合ってきたし、自分の限界までは努力したと確信しています。それでも全く届かなかったのは、自分の熱意が、ほかの選手を追い越せるところに届いていなかったからだと思っています。自主練はもちろんしていました。でも、足りないことはわかっていたのに、それ以上時間を増やそうとはしませんでした。毎回の練習でよかったプレーや悪かったプレーを思い返し、ほかの選手に聞きに行ったりもよくしました。でも、サッカーノートは4年間結局書きませんでした。睡眠不足で集中できないと感じる朝練もありました。四角形のパスでパスした後次のマーカーまで走るなんてのは、中学では身についていたはずなのに、大学ではほとんどやっていませんでした。見返さなかった自分の試合動画も何本もあります。サッカーに本気で向き合っていたし、努力していたことは本当です。ただこの限界を乗り越えられなかったことが、自分の何よりの後悔です。

しかし、この4年間で得たものは、何も後悔だけではありません。初めに、サッカーがうまくなりました。本当に、4年前とは見違えるほど成長したと感じています。それは一緒にサッカーをしてくれた先輩、同期、後輩のおかげに他なりません。本当にありがとうございました。後輩には、プレーで威厳を示せるような先輩ではなかったけれども、サッカーへの姿勢だとか、プレー外の部分だとか、へたくそな自分でもリスペクトしてもらえていると感じられたのは、とても嬉しかったです。(自意識過剰だったら恥ずかしいですが、本当に思っててもらえていたらうれしいです。)先輩には、へたくそな自分にも真っ向から向き合ってくれたことに本当に感謝しています。おそらく本人は覚えていないと思いますが、自分が1年生の時、練習でパスミスをしたときに当時のキャプテンの恵大くんに、「それミスるようじゃほんとにやばいよ」と言われました。おそらく有り得ないミスをした自分にイラついただけだと思います。ただ、当時の自分は、あんなにへたくそでも見捨てずに厳しい言葉をかけてくれたことが本当に嬉しくて、悔しかったです。自分をちゃんと選手として見てくれた先輩方のおかげで、ここまで成長できたと思っています。次に、自分の長所や短所を知ることができました。広大や遼人くんに、「試合に出られなくても、ひたむきに努力できる敦貴はすごい」という内容の言葉をもらったことがあります。自分の中で100点の努力ができたわけでは決してないけれど、本気で取り組んだことに、うまい選手から評価してもらえたことは自信になりました。逆に、100点の努力はできなかったこと。本気で向き合ったからこそ、自分の弱点を知ることもできました。あとは、地味な成長としてチャレンジする精神も身につきました。最初は多分、先輩にサッカーを聞きに行くのにビビっていたとか、そんなところからだと思います。煙たがられないかなと不安でしたが、へたくそな自分でも、ちゃんと向き合ってくれて嬉しかったです。後輩も、自分が言うことを真剣に読み取ってくれ、逆に自分の意見をどんどん伝えてくれました。へたくそでも自分の考えを伝えることに怯えないでいこうと思うようになりました。不安でも挑戦する精神は、そういった経験で自信を得た中でついたものかと思います。

おわりに

それでは、思い出す記憶は山ほどありますが、最後に同期への思いをぱぱっと述べておわりにしたいと思います。この代は、ほかの学年のように部活外で会うことはほとんどない集まりの悪い代ですが、誰よりも信頼できる仲間です。各々非常にマイペースですが、必要なときは全員が頼りになるやつらだと思っています。一緒にサッカーしてくれて、ありがとう。卒業旅行くらいは行きましょう。

ここまでご拝読ありがとうございました。大きな成長と後悔を心に刻み、これからの人生を歩んでいこうと思います。最後に一つだけ謝罪をします。リーグ戦の参加費は選手一人当たり年間11,000円かかります。最終節の前には、「これで試合出たらコスパ悪すぎる選手になるな」とか思っていましたが、1秒も出られませんでした。44,000円、無駄にしてごめんなさい!!!それでは!!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です